実際に『読める形見』を、つくった感想

文:いなちゃん

目次

この本があるから、明日も生きていける

正直に言うと、最初は少し怖かったです。

自分の中にあるあまりにも大きな「悲しみ」を、

あえて見にいくような作業だったから。

そこに触れたら崩れてしまいそうで、

あえて見ないことも、

そっとしておくこともできた場所。

でも、何か、不思議な力が働いて

ゆっくりでもいいから「いま」残さなきゃ、と

思い切ってスタートすることにしました。

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背中を押されるような不思議な出来事がたくさんあったスタートの日。さよさんと。


「読める形見」をかたちにしていく中で感じたこと

今回この「読める形見」をかたちにしていく中で、

何度も「悲しみ」に触れることになりました。

思い出すたびに、何箱ものティッシュ箱が必要で、

「なぜ居ないの」

「何かもっと出来ることがあったんじゃないか」

「どうしてなの」

いろんな感情が出てきました。

でも、不思議なことに、

私はこの時間にすごく救われました。

父の知らなかった一面をたくさん集めることができて、

この血が流れていてよかった。

父の娘で本当に幸せだったと、

心の底から思えたからです。

引用:実際の読める形見より

「あの日から。追いかけた背中が急になくなり、

これからどう生きていったらいいのだろうと、途方に暮れる日々が続きました。

娘が生まれ、彼女が生きていくために、

最期まで教育者として、命のあり方を教えてくれた父の生き様を、

後の世代に伝えなきゃ。

それがこの本を作ったきっかけです。」

思い出して、言葉にして、また思い出して。

その繰り返しの中で、

自分の中のその場所に、少しずつ色がついていく感覚がありました。

最初は真っ暗な暗闇がどこまでも深く続いているような感覚だったはずなのに、

気づいたら、たくさんの花が咲いているような場所になりました。

悲しみは消えていないし、

そのスペース自体も、きっと何も変わっていません。

でも、そこに向き合った時間の分だけ、

自分の方が変わっていく。心が大きく広がっていく。

そして、少しだけ、受け止められるようになったり。

引用:実際の読める形見より

「ぽっかり空いた心のスペース。

愛の記憶が灯り、爆ぜる感情で命と向き合いました。

何度でも思い出し、語り、再会できる拠り所になったこと、

本当に有難うございます。」

この時間は、

決して「乗り越える」ためのものではなくて、

ただ、大切な人を、もう一度ちゃんと感じる時間でした。

そしてそれは、

私にとってすごくあたたかい時間でもありました。

「読める形見」をつくるということは、

きっとこの時間を、一緒に過ごすことなんだと思います。

悲しみの中にあるものに、

そっと触れていく時間。

その先にあるものが、

ちゃんと「愛」だったと感じきれるような時間。

こんなにも愛されていたんだ。

そして、愛していたんだ。

ありがとう。

また明日も、正直に、素直に、

前を向いて生きていけそうだよ。

そんな気持ちです。